■ 全てのタツノオトシゴに言える事
タツ飼育で一番の問題は餌の確保だと思います。他の魚と違いタツノオトシゴの消化器官は弱く起きている時はずっと食べていなければならない生物です。
一般的に餌は1日2回あげれば良いと言う観念は捨ててください。 確かに維持は出来ますが成長はしません。長期飼育するならいつでも食べられる環境を
作ってあげるよう環境を整えるのも飼育者の責任だと思います。
水槽にライブロックや海藻を多めに入れ常備食にヨコエビを常時入れておき、一日2回程度イサザを投入する方法が1番ベストな環境だと思います。
タツノオトシゴは生体の値段よりその後かかる餌の値段です。 安易に可愛いからと買ってしまうと死なせてしまいますのでご注意ください。
■ 飼育の前に
タツノオトシゴは愛らしい姿とのんびりとした泳ぎでとても人気がありついつい引かれてしまう海水魚のひとつです。一般的にタツノオトシゴの飼育は難しいと
されていますが餌の問題さえクリアーできれば丈夫で長生きしてくれます。また、スローイーターな為に他の魚との混泳も不向きですのでタツノオトシゴを飼育
したいという方はそのあたりの覚悟も必要になります。自分の水槽に色々魚を入れて艶やかにしたいという方には不向きかもしれません。
難しい事ばかり書きましたが私も上記の事に苦戦した一人です。 広い海から急に狭い水槽に移されるわけですから彼らにとってあまり幸せとは言えないと
思います。  より心地よい環境を整えてあげて上手く付き合ってあげてください。
■ 飼育環境
タツノオトシゴを飼育する点で重要なのは特殊な生活習慣と水流などの問題だと思います。 まずは水槽の高さが必要になってきます。
繁殖を目指していなければ気にしないで良いと思いますがやはり繁殖行動を上手く行えないのは彼らにとってかなりストレスになり、病気の原因や寿命を縮める
事につながります。 また、ペアが水槽内を上下に行ったりきたりする姿はとてもドラマティックでぜひ見たい行動の一つでもあります。
繁殖の成功率を上げるには海ほどの高さを作れないにしても、ある程度の高さ(60cm推奨)は必要です。
砂をひいてしまうと高さが失われてしまう事から私の水槽は70cmの高さにしました。それでも、まだまだ足りませんがブリードを考えるなら幅は狭くても背の高い
水槽を別に用意するのも良いと思います。
タツノオトシゴの餌についてですが一般的にイサザアミ、ヨコエビ、コペポーダなど活餌中心になります。 また、大きく分けて2種類の捕食形態に分かれます
定着性の個体 ( 定着する餌を好んで捕食 )

幼魚は比較的大きめでヨコエビなどを主食とする
 タツノオトシゴ、イバラタツ、ショートヘッド・シーホース、ポットベリーシーホースなど

 これらの個体は定着特性の為、ヨコエビなどで飼育がメインです。
 幼魚も飼育しやすい個体です。
浮遊性の個体 ( 浮遊してい餌を好んで捕食 )

幼魚は非常に小さくワムシやコペを主食とする
 オオウミウマ、クロミウマ、タカクラタツ、モルッカン・シーホース、サンゴタツなど

 これらの個体は定着性とは違い浮遊特性の為、比較的広い水槽が必要です。幼魚が非常に小さく
 定着しない為ワムシやコペポーダを常に水槽内に入れておく必要があります。
 
オオミウマやポットベリーシーホースなど冷凍の餌に餌付きやすい種もいます。 冷凍の餌やドライフードに餌付いても栄養面などを考え定期的に生餌を与える
事を強くおすすめいたします。実際、私も餌の確保にはかなり手を焼いています。うちで冷凍を食べてくれるのは、オオミウマとポットベリーぐらいでイバラタツや
モルッカン・シーホース、ハナタツなどなかなかは冷凍餌には見向きもしてくれません。 常時生餌の購入やストックは困難な為、イサザアミとヨコエビを水槽内
にいれて 対処しています。
※ 入れすぎには注意してください。タツのエラに入ったり水槽内のバランスを崩す恐れがあります。
■ 繁殖について
タツノオトシゴは水温が上がる時期と下がる時期の春と秋に繁殖期に入ります。 水槽内の温度を2℃~3℃上げ下げすることで繁殖行動を促す事が出来るの
でぜひチャレンジしてください。 タツノオトシゴはメスがオスに卵を渡してオスが育児嚢(いくじのう)で卵をかえします。 この受け渡しの行動がとても神秘的で
美しく一度は見てみたい光景の一つでもあります。 かといって水槽内で繁殖させるのは容易ではありませんので覚悟を決めてとりかかって下さい。
また、幼魚が生まれてからもとても生存率が低く餌の確保も大変です。  繁殖のポイントは水槽の高さとなるべくペアのみにする事、水流はごくごく弱くです。
また、繁殖前にたっぷり栄養のある物を食べさせておく事も必要です。 卵がオスのお腹から孵化して出てくるには2週間から6週間ほどかかります。
■ 水槽内の設備と体色変化について
タツノオトシゴを飼育する場合は水槽内の障害物をなるべく取り除き、水流はごく弱くしておきましょう。 全てではありませんが多くのタツノオトシゴは磯場や
サンゴ礁ではなく緩やかな海の海藻などに住んでいます。
マリンプランツ類、イチイズタやムカデノリ、タカノハズタ、ホンダワラなどを入れ穏やかな海岸の淵を再現するようにし生息環境に近づけてあげましょう。
マリンプランツはヨコエビなどの隠れ家にもなりますので必ず必要です。 タツノオトシゴが餌を探して海藻をワサワサしている姿はとても可愛いくて癒されます。
また、ヨコエビの餌にもなりますのでホンダワラ、アオサ、アマモなど入れると良いでしょう。
タツノオトシゴは体色変化も魅力の一つです。水槽内のカラーに合わせ若干ですが体色が変わる種類もいますので試してみてください。
タツ達が全ての色を把握できるとは思いませんが水槽内に色々な色をレイアウトすると体色も良くなり楽しみが増えます。 
基本タツノオトシゴの体色変化は水槽内のカラーではなく太陽光による反射で識別し、その刺激で変化いたしますので明かりを調節するのも良いでしょう。
ハナタツや赤系のタツは人気ですがこれは遺伝子が問題で赤の遺伝子を持たない物はどれだけ赤いものを設置してある水槽に入れても赤くならないし
赤の遺伝子を持つ物は赤系の物が無い水槽内でも赤色になります。 少しお金はかかりますが良い個体を購入して増やすのが一番合理的です。
赤色を維持する為に色々な色の海藻を入れて上げてください。 赤だけより体色が綺麗になります。
※ 体色がくすむ場合がありますが発情期やストレス、体長により日々変化いたしますので日頃の観察は重要です。